幽霊飴

桑名市清水町 浄土寺

昔、浄土寺の門前に「飴忠(あめちゅう)」という飴屋がありました。
 其の店に毎夜一人の女の人が来て飴を買っていくようになりました。すると、売り上げを勘定するとき必ず木の葉が一枚入っているようになりました。飴忠の主人は、女の人が置いていったお金が木の葉に代わるのだと思い、ある夜女の人の後をつけました。すると、その人は浄土寺の墓地に消えてゆきました。
 気味が悪くなった主人は、翌朝寺の住職と共に墓地に行ったところ、ま新しい墓の中から赤ん坊の泣き声が聞こえました。驚いた二人が墓を掘ると、飴を買いに来た女の人に抱かれた赤ん坊がいました。幽霊が飴で赤ん坊を育てていたのです。母親を哀れんだ住職と飴忠の主人は、女の人を手厚く葬りました。
赤ん坊はその後すくすくと育ったということです。
 幽霊が買いにきたという噂で飴忠は有名となり、地蔵盆には飴に小麦粉をまぶしたものを売り、人々はこれを「幽霊飴」と呼びました。

平群(へぐり)池


桑名市志知 平群

桑名の伝説・昔話 [ 幽霊飴・平群(へぐり)池 ]志知村には「ヤマトタケル」にちなんだ伝説があります。
ヤマトタケルは古事記に登場する伝説の英雄ですが、 東征の帰り伊吹山で病となり、多度を通り、桑名の志知村 平群山にさしかかった時、同じ名前の故郷の平群を想い、 歌を詠みました。
「いのちのまたけむ人はたたみこも、平群の山のくまが しが葉をうずに挿せその子」(命がこれからもある人は 、平群の山に生えている、常緑樹である熊がしの葉を、 髪に挿しなさい)。この歌の碑は、平群神社の境内にあります。
また、神社の裏の平群池でヤマトタケルが足を洗ったと いう伝説もあります。
この池に関して昔話が2話伝わっています。

片目の魚

平群池に住む片目の魚を採ると神罰が当たるといわれ、 誰も近づきませんでした。
ところが、ある日、松右衛門 という漁師がこっそりと網をかけ、大鯰(なまず) を生け捕りました。
籠に入れて帰ろうとすると、池の方から 「松右衛門やーい、松右衛門やーい」と呼ぶ声がしました。
すると、籠の中の鯰が「おおーい、おおーい」 と返事をしました。
漁師は驚いて鯰を池へ放り込んで逃げ帰りました。
しかし、漁師は病気になって死んでしまいました。

九左衛門と白鷺

昔、志知に猟師の九左衛門という人がいました。
ある日、平群池のほとりで白鷺を撃とうとしていたところ、 足を滑らせて池に落ちてしまいました。岸にはい上がろうと泳いでいると、ふんどしの中に モロコがいっぱい入り、ふところには鯉が飛び込んできました。
シメシメと思った九左衛門は、池から上がろうと 木の根をつかみました。
ところが、木の根と思ったのは、兎の後ろ足でした。
突然足を捕まれた兎は、驚いて逃げようとして前足で土 を掻きました。
その土の中から山芋がたくさん取れました。
白鷺を撃ち損ねた九左衛門は、 池に落ちたことによってモロコ・鯉・兎・山芋を手に入れました。
「災い転じて福となった」と、初めは喜んだ九左衛門でしたが、 あまりの幸運に気持ちが悪くなり、以後殺生をするのはやめました。