桑名市石取会館は、大正14年(1925年)に四日市銀行桑名支店として竣工されました。

京町は、東海道筋に位置し、百五銀行、四日市銀行、名古屋銀行、桑名町役場などがあり、桑名の経済の中心地でもありました。昭和10年(1935年)11月10日付けの朝日新聞には、四日市銀行桑名支店は、昭和8年頃に閉鎖されましたが、昭和 10年、有限責任信用組合桑名金庫(現在の桑名信用金庫)が四日市銀行より買い取ったという記事があります。ちなみに有限責任信用組合桑名金庫は、大正14年(1925年)4月に設立され、職人町に事務所を新築しました。昭和20年(1945年)の戦災では、建物の周辺が被災したにも関わらず、建物の一部が被災しただけで、焼失を免れました。

その後桑名信用金庫の本店、ついで京町支店として利用されました。

平成3年(1991年)に土地と建物が桑名市に寄贈され、平成4年7月21日、桑名市石取会館として開館しました。

戦前の銀行建築の様式を色濃く残す石取会館は、鉄筋コンクリート造りで一部3階建てとなっています。幾何学的な要素をもつアールデコが、銀行建築の主流となりつつあった風潮を反映し、古典様式が簡略化されています。建物の角は丸く縁取りされ、重厚で力強い外観になっています。

柱は2階分の高さがあり、柱頭には装飾がなく、面取りされ、抽象化されています。

柱と柱の間には長方形の窓が二つあり、柱上部にある装飾的な水平帯(エンタブレチュア・古典様式のオーダー<円柱と丈夫の水平部材>のうち水平に渡された部分で、屋根の荷重を受けて、直接柱に支えられているところ)は簡略化されています。