第3回くわなの自然「森のギャングースズメバチー(1)」

【桑名市自然環境保護推進員・川添 昭夫】

秋口になると新聞などのマスコミには必ずといっていいほど「スズメバチの襲撃?」と話題になるハチがいる。マムシなどとともに恐れられているアシナガバチ類やスズメバチ類である。

毎年刺されて亡くなる人がいるから当然である。多くのハチ類の仲間で最も大型で1頭の女王バチと数百から数千頭の働きバチが集団生活をしている。毒性も強く「森のギャング」といわれるのもうなずける。

その中でも最も恐れられているのがスズメバチ類である。世界中で61種、日本では16種が知られている。桑名市内ではオオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチの4種が確認されている。モンスズメバチ、チャイロスズメバチも生息している可能性はある。

なぜスズメバチは刺すのか

ハチ類は昆虫のなかでも甲虫類・ハエ類とともに種類数が多い昆虫である。その数は世界で30万種以上、国内で5千種以上はいるといわれているが、正確な種類数は県内・桑名市でもわかっていない。

ハチは刺すものと思われているが、有剣類といわれるわずかな仲間だけである。ハバチ類・ヒメバチ類などの多くのハチ類は針のような産卵管を持っているが、捕まえると刺す真似をするだけで毒性もなく皮膚を刺し通すこともない。 

クモバチ類(ベッコウバチ)ジガバチ類・ドロバチも毒針を持っているが、巣を壊しても捕まえたりしない限り、刺すことはない。これらのハチ類は巣を守ったり、敵を攻撃するためではなく、幼虫の餌となるクモやアオムシを狩り、動けなくする麻酔薬を注入するためである。野菜などの害虫駆除に役立っている。

コアシダカグモを狩るミカドクロクモバチ

  【コアシダカグモを狩るミカドクロクモバチ

しかし、スズメバチやアシナガバチなどの社会性昆虫の毒針は巣を守り、護身用の武器であり、獲物を狩るとき毒針を使用することはほとんどない。これらの巣の中には栄養たっぷりの蜜や幼虫が詰まっており、大型動物にとっては最高の栄養源である。スズメバチにとっては反撃できるだけの自衛力がなければ巣の存続は不可能である。そのため、巣の防衛のため、入口のガードマンがいて外敵が近づくと威嚇行動や毒液を発射する。攻撃を開始するのは巣への危険を察知したときで、巣に近づかない限り、刺されない。また、春先の巣づくりの初期も攻撃性は低い。

キイロスズメバチの巣

      【キイロスズメバチの巣】

しかし、オオスズメバチは巣を離れていても攻撃することがある。樹液や他のハチを攻撃しているときである。特に豊富な餌場を見つけたときは、追い払うだけでなく同種を殺してしまうほどである。強いなわばりをもっている。

オスは刺さない

ハチ類は雌雄に関係なく刺すと思われているが、もともと産卵管から進化した器官であるため、刺すのはメスだけでオスは刺す真似はするが刺さない。オスは年中巣にいるわけでなくスズメバチ類は繁殖期の秋だけに現れ、ミツバチのオスは春の結婚シーズンだけである。

女王バチもメスで毒針を持っているが攻撃性は低く、女王として種を守ることに専念しているためのようだ。初期の巣でも逃げるばかりで攻撃性はない。

しかし、コガネムシの幼虫を餌とするツチバチ類はオスに3本の針状の突起を持っており、捕まえるとメスのように刺す。毒性はないので痛みは残ることはない。