桑名の生きもの[平成21年度]

ケリ(チドリ目チドリ科)(7月)

ケリは、水田や休耕田など、水辺の環境にいる大型のチドリの仲間です。

大きさは公園にいるハトくらいの大きさで、日本では、近畿地方、東海地方以北を中心に生息・繁殖し、関東地方で見られるのは珍しい鳥です。

3月から7月にかけて、畦などに巣を作り、巣に近づく人や犬に攻撃します。けたたましい声で鳴きながら飛ぶため、よく目立ちます。

また、巣立ったばかりの雛を守るため、親が偽傷(羽などを広げ、傷ついたように見せる行為)をしたりします。

ケリ

チュウシャクシギ(チドリ目シギ科)(8月)

チュウシャクシギは、渡りの途中に干潟や水田・川岸などへ飛来するシギの仲間です。

4月から6月と、8月から10月に観察することができます。写真は、木曽川の干潟でカニを捕っているところです。下に曲がったくちばしでうまくカニを捕まえます。

夏にシベリアなどで繁殖して、冬に南へ移動します。春と秋の移動の途中に、餌を捕るために日本の湿地へやってきます。このような鳥を旅鳥(たびどり)といいます。7月に紹介したケリなどのように、1年中いる鳥は留鳥(りゅうちょう)といいます。

チュウシャクシギ

アサギマダラ(チョウ目タテハチョウ科)(9月)

多度山麓の山道を歩いていると、フワフワと優雅に飛ぶチョウを見ることが出来ます。オスは、ヒヨドリバナなど白い花でよく吸蜜しています。

長い距離を移動し、渡りをするチョウとして有名です。マーキング(目印をつける)調査により、秋になると三重県内の南岸を群れをつくり南下することがわかっています。

南方系のチョウですが、冬にはキジョランなどに産卵します。この植物は有毒な成分を含み、そのため成虫は鳥に捕食されることは少ないようです。越冬することも知られるようになりましたが、まだ謎の多いチョウです。

アサギマダラ

アオマツムシ(バッタ目コオロギ科)(10月)

朝夕の風に涼しさを感じる頃になると、庭先や街路樹で「リリーリーリー」とよく通る虫の音に気がつきます。
木の葉にとまり、美しい緑色をしたコオロギ科の一種で、日本では19世紀末に東京で最初に発見されました。原産地は中国南部と推定され、木の枝に産卵することから、果樹などの樹木と一緒に持ち込まれたと考えられています。三重県内では昭和27年に伊勢市内で発見され、国道の整備とともに、市内の団地を中心に一気に分布が広がりました。

アオマツムシ

ヒメタイコウチ(カメムシ目タイコウチ科)(11月)-桑名市指定天然記念物-

平地から丘陵地にかけてのわき水がみられる湿地に生息しており、成虫の大きさは20mmほどです。

産卵は5月前後で、ふ化後は小さな虫を食べて成長し、5回の脱皮を重ねて、10月ごろには成虫になります。活動期には、水際や落ち葉の下などで観察できます。

最近、埋め立てや宅地開発などで生息する場所が少なくなりました。
この希少生物が生きられる里山環境を大切にしたいものです。

ヒメタイコウチ

ミズアオイ(被子植物・単子葉類・ミズアオイ科)(12月)

ミズアオイは、日本古来の在来種コナギや帰化植物の
ホテイアオイによく似ています。古くはナギという名で、食料不足の時に
食べられたと聞きます。国の絶滅危惧種であるとともに、三重県でも絶滅危惧種に指定しています。

9月から10月ごろに3cmほどの青紫色の花を咲かせます。
葉柄が膨れない特徴を持ち、茎の下部が水面下にある抽水(ちゅうすい)植物です(写真は多度町西福永に現れたものです)。

湖沼開発や農薬使用により県内では絶滅に近い状況ですが、水田の土壌が撹拌(かくはん)されることにより、土壌中の種子が発芽・生育することがあります。

ミズアオイ

 

ニホンザル(霊長目オナガザル科)(平成22年1月)

桃太郎やサルカニ合戦などの昔話に登場するように、古くから身近な生きものでした。

数頭のオスと母子で十数から百数十頭の群れをつくり、2k平方メートルから25k平方メートル程度の範囲を移動して暮らします。雑食性で、昆虫なども食べますが、果実、種子、葉、芽などの植物性のものを好んで食べ、各地で農作物への被害が問題となっています。

 

メスは7歳ごろに初産をむかえ、2年から3年に1度、1頭ずつ出産します。しかし、農作物などを食べて栄養状態が良いと、初産は1年から2年早まり、毎年出産するようになります。これにより数が増え、大きくなった群れは分裂し、生息地域が拡大していきます。

ニホンザル

ニホンアカガエル(カエル目アカガエル科)(2月)

明治5年に刊行された「西洋料理指南」に、日本で初めてカレーが紹介されました。この中で、食材にアカガエルが登場しており、古くから身近なカエルとして親しまれていたことが想像できます。

稲作の作業が始まる前の1月下旬から2月ごろ、田んぼに残った水たまりを利用して卵を産みます。しかし、家が建ったり、生産効率向上のために水はけをよくした田んぼでは、この水たまりができにくくなり、卵を産む場所がなくなってきています。

東北から九州まで見られますが、そのうちの4割の都府県で絶滅の危険性が指摘されています。

ニホンアカガエル

マルバタネツケバナ(被子植物・双子葉類・アブラナ科)(3月)

代表的な水田の雑草であるタネツケバナは、主に春、白い花を咲かせます。それに比べ、マルバタネツケバナは、写真のように菜の花をそのまま小さくしたような形です。

また、葉にほとんど切り込みがないという特徴があり、多度地域内の揖斐川河川敷に生育しています。東海三県の同じような環境に分布していますが、県内ではこの地域だけに限られ、県の絶滅危惧(きぐ)種に指定されています。

マルバタネツケバナ