桑名の生きもの【平成22年度】

イヌナシ(バラ目バラ科)-三重県指定天然記念物-(4月)

多度峡のみどりヶ池周辺に、イヌナシの自生地があります。別名「マメナシ」とも呼ばれ、野生ナシの中で最も原始的なものです。4月初めに開花し、その後1cmほどの小さな実をつけます。
天然記念物に指定された当時は150株ほどでしたが、今では40数株になり、大きいものは胸高直径15cm、高さは6mから8mに育っています。

平成16年から毎年、県・市・地元育成会の方々によって雑木や下草刈りが行われ、風通しや日当たりも良くなり、たくましく成長しています。また、次世代の芽生えも育つ環境になってきています。
桑名の貴重な宝物を皆さんで見守り、育てていきたいものです。

イヌナシ

ナマズ(ナマズ目ナマズ科)(5月)

ナマズは、湖沼や河川の中・下流域に生息しています。夜行性で、小魚やカエルなどを好んで食べます。

最近、河川ではあまり見られなくなりました。産卵場所に適した水田と河川が遮断されたことも、ナマズが減少した理由の一つとして考えられています。

一説では、ナマズのナマは「なめらか」を、ズは「頭」を意味し、ナマズという名前は、皮膚がすべすべしている大きな頭の魚という意味であると言われています。

ナマズ

 

 

 

カマツカ(コイ目コイ科)(6月)

河川の中・下流域や湖沼の沿岸と、これらに連絡する水路などに生息します。

砂底や砂れき底のところに多くみられ、少しずつ前進しながら、吻(ふん)(口先)を突出させて砂と一緒に餌を吸い込み、砂はえらあなから出します。口の周りやひげには、味を感じるしくみがあるようです。

驚くと砂に潜り、目だけを出して身をひそめます。このため、スナホリ、スナムグリなどとも呼ばれます。

産卵期は5月から6月で、夜間に川の浅くて流れのゆるやかな場所で産卵します。卵は沈性粘着卵で、小石などに付着する性質があります。受精後約1週間でふ化し、成熟までに2~3年かかります。

カマツカ

チュウヒ(タカ目タカ科)(7月)

桑名市、木曽岬町、弥富市にまたがる木曽岬干拓地には、絶滅危惧種に指定されているチュウヒが繁殖しています。
チュウヒは、湿原の食物連鎖の頂点に立つタカの一種です。日本では多くの湿地が埋め立てられ、チュウヒの生息できる場所は減少しました。現在、各地でチュウヒを保護する活動が行われており、様々なイベントが開催されています。

チュウヒ

コアジサシ(チドリ目カモメ科)(8月)

コアジサシは、環境省レッドリストで絶滅危惧II類に分類される鳥類です。
夏に海岸などの草の少ない場所で集団繁殖地を作り、卵を産みます。カラスなどが巣に近づくと集団で飛び立ち、威嚇します。冬は遠くオーストラリアの方まで飛んで行きます。
繁殖地となる場所が限られるために減少し、絶滅が心配されています。

コマジサシ

 

オオスカシバ(チョウ目スズメガ科)(9月)

初夏から盛夏のころ、花の周りを小鳥のような生きものが飛んでいるのを見ることがあります。せわしく羽を動かしホバリング(停止飛翔)しながら花の蜜を吸う姿は、ハチドリのように見えます。
しかし、これはガの仲間で、羽が透けていることから、オオスカシバといいます。多くのガは夜行性ですが、オオスカシバは昼に活動して多くの花を訪れるため、花粉を運ぶのに役立っています。幼虫は巨大なイモムシで、クチナシの葉を好んで食べます。

オオスカシバ

 

アカガネサルハムシ(甲虫目ハムシ科)(10月)

ノブドウの葉を食べる赤と緑の鮮やかな昆虫は、アカガネサルハムシです。前脚がサルのように長いことから、この仲間をサルハムシといい、本種はその中で最も美しいものの一つです。
ハムシは本来「葉虫」と書き、葉っぱを食べる昆虫という意味があります。植物にとって葉は大切な光合成器官であり、虫に食べられるのを防ぐため、ほとんどの植物が葉に毒を盛り、むやみに食べられるのを防いでいますが、長い進化の過程で、この毒を解毒する術(すべ)を身に付けた昆虫だけが、特定の植物を食べることを許されたのです。ウリハムシ・ヨモギハムシ・ダイコンハムシなど、ハムシに植物名が付いたものが多くいるのは、このためです。

アカガネサツハムシ

 

ニホンイシガメ(カメ目バタグールガメ科)(11月)

山麓の池や田んぼ、河川の上流から中流域で見られます。泳ぎがうまく、流れの速い場所でも生息し、魚やザリガニ、水生昆虫、水草など何でも食べる雑食性です。甲羅は平べったく、しっぽの周辺がギザギザしているのが目印です。
河川が改修されたり、水路がコンクリートで固められ、移動ができなくなり数が減りました。また、ペットとして飼われていたミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)が捨てられ、繁殖して増えたことも減少した要因の一つです。

にほんいしがめ

 ニホンカナヘビ(有鱗目カナヘビ科)(12月)

市内のどこにでも見られ、人家の庭先でもくらしているため、身近な爬虫類と言えるのではないでしょうか。日当たりの良い石の上などで日光浴をしているのを見かけます。

ニホントカゲと姿や生態が似ていますが、よく見ると違いはいくつもあります。ニホンカナヘビは、うろこが目立ちカサカサしており、尾が長く(体の3分の2)、舌先はヘビのように二又に分かれています。スマートな体型をしていて、4本の足と尾で体を支えて歩くのも、特徴と言えます。

小さな昆虫やクモなどを食べますが、市街地では空き地や草地が失われ、エサが減っていることから、数が減りつつあります。

ニホンカナヘビ

フナバラソウ(被子植物・双子葉類・ガガイモ科)(平成23年1月)

ガカイモ科の多年草ですが、DNA解析ではキョウチクトウ科の仲間に含まれます。
高さ40センチから80センチで、果実は袋状で鉛筆キャップのような形をしています。中には長い毛を持った種子が詰まり、実が開くとまるで落下傘のように風で遠くまで運ばれます。葉は大きく(6センチから14センチ)、全草が白い軟毛で覆われ、5月から6月ころに濃紫色の花を咲かせます。
草地環境を好み、木曽川堤防に自生していましたが、改修により市内では野生絶滅しました。しかし市内の似た環境で見られるかもしれません。三重県の絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

 フナバラソウ

ハマエンドウ(被子植物・双子葉類・マメ科)(2月)

名前のとおり、浜辺に生育するエンドウによく似たマメ科の多年草です。海浜植物ですが、内陸の湖岸でも生育します。茎は支柱に巻き付きませんが、巻きひげが草木に絡み付いて立ち上がることがあります。葉は羽状複葉で粉白色を帯び、大形の托葉を付けます。花は4月から7月ころに咲き、赤紫色から次第に青味がかっていきます。
県内各地の海浜で、少なくなりつつありますが普通に見られます。しかし市内では、近年、堤防の改修により野生絶滅しました。

ハマエンドウ

ビロードツリアブ(ハエ目ツリアブ科)(3月)

早春の道端には白い花や黄色の花が咲き始めます。ビロードツリアブは、まだ寒い日も多いこの季節にわずかな花を求めて飛び回ります。そして、ホバリングしながら効率的に吸蜜できる技を持っています。
春先の植物は、受粉できるように同じ種が集まって咲きます。このように植物は、多くのアブやハエの仲間の好みに合わせて咲いているようです。

ビロードルアリブ