桑名の生きもの【平成24年度】

タコノアシ(被子植物・双子葉類・ユキノシタ科)(4月)

花は8月下旬から咲きはじめ、秋には紅葉して目立ちます。大きく生長したものでは80cmほどにもなる多年草です。たくさんの小さな花をつけ、1mm未満の小さな種子が多数できます。
多くの花がついた枝が茎の先に分かれて伸びている様子を蛸(タコ)の足、花を吸盤に見立て、この名がついたと言われています。
市内では、木曽三川河口域の河川敷や川縁に生育しています。繁殖力は比較的強いようですが、市内では生育環境の変化により絶滅が危惧されています。

タコノアシ

 ヤマトシジミ(チョウ目シジミチョウ科)(5月)

市街地の中、わずかに残った草にかれんに飛ぶ小さなチョウがいます。ヤマトシジミと呼ばれ、4月上旬から現れて11月ころまで産卵を繰り返します。
幼虫はカタバミを好んで食べます。カタバミはコンクリートの裂け目にも生える強い植物で、このヤマトシジミも都会の真ん中で生息するたくましいチョウです。
幼虫には、アリが好む甘い汁が出る分泌腺があるため、周りでトビイロケアリなどがねだっているところを見ることができます。

ヤマトシジミ

ゲンジボタル(コウチュウ目ホタル科) (6月)

「ホーホーホータル来い・・」はホタル狩り唄の一つですが、晩春から初夏にかけて夏の風物詩として古くは平安朝から親しまれています。
成虫の寿命は短くせいぜい2週間位で、飛び交っている多くはオスでメスは草むらでじっと止まっています。
メスは数百個を産卵しますが、成虫まで成長するのは1%に満たないです。幼虫はカワニナを食べて、1年位で成長し4月上旬上陸しサナギになります。
生息環境は厳しくなりつつありますが、まだ市内でも生き残っており、いつまでも残してほしい生き物です。

ゲンジボタル

ウラシマソウ(被子植物・単子葉類・サトイモ科) (7月)

多度山麓の林のほとりに生える多年草で、サトイモの仲間です。仲間には、ミズバショウやマムシグサがあります。
写真のように不思議な形で、花のつく軸の先端が細長く伸びて、垂れ下がっています。このような形を、浦島太郎が釣り糸を垂らす姿にみたてて名付けられたようです。
開花の時期は5月頃、悪臭を放ってハエを集め受粉します。また、栄養状態によって雄株から雌株に転換がみられる植物です。 

ウラシマソウ

ワレモコウ(被子植物・双子葉類・バラ科) (8月)

溜池の土手や木曽三川堤防など日当たりのよい草地に見られる多年草です。
根はタンニンを多く含み止血効果のある薬として利用されます。高さは80センチ前後で、秋になると枝分かれした
先端から暗紅紫色の花が咲きます。
名前の漢字表記には「吾木香(われもこう)」とか「吾亦紅(われもこう)」などがあります。
清楚な感じで秋の七草に加えたいものの一つです。

ワレモコウ

モズ(スズメ目モズ科)(9月)

写真は雄のモズです。雌は目の黒い部分が薄く、胸に茶色のうろこ状の模様があります。
秋になると、雄、雌それぞれがなわばりを宣言するために鳴きます。この鳴き声をモズの高鳴きといいます。
モズは捕らえた獲物を木の枝などに突き刺したり、木の枝股に挟んだりします。このことをモズの早贄(はやにえ)といいます。
また、鳴きまねがうまいので、「百舌」と書いて「モズ」と読みます。

モズ

セグロセキレイ(スズメ目セキレイ科)(10月)

セグロセキレイは河川の中流域に分布しています。セキレイ科のハクセキレイは河口付近に分布し、上流部でキセキレイを観察できます。棲み分けはそれほどはっきりしたものでなく、同じ場所で3種を同時に観察できることもあります。よく似たハクセキレイは、目の下が白いのに対して、セグロセキレイは黒いのが特徴です。尾を上下に振る動作が目立ちます。また足を交互に出して素早く歩きます。

セグロセキレイ

ベンケイガニ(十脚目ベンケイガニ)(11月)

真っ赤な爪と赤い甲羅、いかつい体つきから、源義経の従者として知られる武蔵坊「弁慶」の名が与えられています。揖斐川河口のあし原に穴を掘って住んでいます。
同じ環境には、黒みが強くさらにいかめしい体つきのクロベンケイガニが多数いますが、数が少ない赤色のベンケイガニの方がよく目立ちます。
ベンケイガニと似たカニにアカテガニという、より陸に適応したカニがいますが、市内ではあまり見ることがありません。
いずれのカニも、大潮の満潮時に卵を海に放つ必要があるため、海水と縁を切ることができない生きものです。ベンケイガニは、厳冬期を除いて一年中見ることができます。

ベンケイガニ

 クサギカメムシ(半翅目カメムシ科)(12月)

窓わくや柱の裏側にかくれているムシにさわって強烈な臭いにさらされた人も多いことと思います。カメムシは成虫越冬するため,冬の間,家の中に入ってきて,人とニアミスを起こします。そんなとき,そっとだっこするように持って外に出せばよいのを,嫌悪のあまり激しく刺激し,カメムシの放つ臭いをもろに浴びてしまうのです。家の中に入るのは,クサギカメムシかマルカメムシに限られますが,野外には多くのカメムシがいて,異なった臭いを発します。
カメムシの仲間は,臭いをコミュニケーションの手段に発達させた昆虫界きっての香りの使い手なのです。

クサギカメムシ

アオダイショウ(爬虫網 有鱗目 ナミヘビ科)(平成25年1月)

今年は、巳年。ヘビを嫌がる人はたくさんいますよね。でも、干支の一つになるように、縁起のいい生きものとして、昔から捉えられたりもします。
市街地から山地まで、さまざまな場所で生息していることや、昼間行動することなどから、人目にふれる機会も比較的あります。また、人家に入ってネズミを食べたりもしてくれます。
危険を感じると、青臭い独特なにおいの汁を出しますが、毒はなく、おとなしい性格をしています。よく見てみると、カワイイでしょ!?

 アオダイショウ

ニホンジカ(哺乳類 偶蹄目 シカ科)(2月)

俳句の季語や花札などにも登場するように、古くから日本人に親しまれてきた大型哺乳類。生態系の構成種として、自然のバランスの中で種を維持してきました。
しかし、近年、個体数増加により、植生への影響や農林業被害などが問題となっています。この原因として、積雪量の減少、補食動物の絶滅、狩猟圧の減少、林業政策・施業の変化が考えられています。
これらの問題解決のためには、科学的知見に基づいた保護管理計画の策定が重要となります。三重県では、自然植生への影響や農林業被害が軽減できる目標生息密度として、概ね3頭/㎢程度としています。

ニホンジカ

テングチョウ(チョウ目 アゲハチョウ上科 タテハチョウ科)(3月)

春らしい暖かな日差しの林道を歩いていると、茶色のチョウが飛び立つのを見ることがあります。冬を越したテングチョウです。頭部が天狗の鼻のように突き出ている姿から、この名がつきました。
幼虫はエノキの新芽を食べて育ち、5月中頃に、葉の裏でサナギになります。成虫は夏から翌年の春まで生き続けます。

テングチョウ