1.工業の概況

 桑名市の工業は、「機械工業」と「金属工業」が二大産業として有名です。戦前の軍需産業の流れをくむ機械工業、江戸時代から続く鋳物づくりに加え、豊富な農林水産物を加工する「食料品製造業」やI T産業などの新産業分野も当市の工業の中枢を占めるようになりました。

 琺瑯(ホーロー)鉄器やボールベアリングは桑名で考案された代表的な製品です。近年では、小惑星探査機”はやぶさ”や世界最速級のスーパーコンピュータ”京”の一部が市内工場で製造されるなど世界のものづくりをリードする企業もあります。また、テレビ番組で紹介されたビーフカレーとポークカレーの境界にちなんだ「桑名カレー」などご当地グルメを扱った食品なども製造されています。

2.桑名市の工業のすがた

 桑名市の工業を「工業統計調査」に基づいてみてみましょう。

(1)事業所数・従業者数・製造品出荷額等・付加価値額

 三重県には3,893社の製造業事業所があり、そこで約19万人の方が働いています。このうち、桑名市には343社(県全体の約9%)、約1万2千人(県全体の約6%)の方が働いています。

 「製造品出荷額等」は、三重県の10兆1,369億円のうち、桑名市は4,924億円(県全体の約5%)を占めています。

 「付加価値額」は、三重県の2兆7556億円のうち、桑名市は2,335億円(県全体の約8%)を占めています。
製造品出荷額等におけるシェアよりも付加価値額のシェアが高いことから、桑名市では付加価値の高いものづくりが盛んであると言えます。

表1(H24年工業統計調査を引用)
  事業所数 従業者数 製造品出荷額等 付加価値額
(社) % (人) % (億円) % (億円) %
桑名市 343 8.8 11,854 6.5 4,924 4.8 2,335 8.4
三重県 3,893 - 187,837 - 10兆1,369 - 2兆7,556 -

(2)事業所の規模

 次に事業所の規模を従業者数別で見てみましょう。
 資本金を考慮せずに従業者数のみで考えると、市内343社のうち、従業員数300人以上の大規模事業所はわずか4社(約1%)で、残りの339社(約99%)は中小規模事業者であることがわかります。

 また、製造品出荷額等は、従業者数が多い事業所ほど多くなる傾向がみられ、従業者数が300人以上の事業所4社で桑名市全体の約49%を占めています。

表2(H24年工業統計調査を引用)
  事業所数 従業者数 製造品出荷額等
(社) % (人) % (億円) %
三重県 3,893 187,837 10兆1,369
桑名市 343 100.0 11,854 100.0 4,924 100.0
内訳     4~9人 152 44.3 923 7.7 97 1.9
  10~19人 82 23.9 1,130 9.5 159 3.2
   20~29人 46 13.4 1,141 9.6 210 4.2
    30~49人 26 7.5 1,063 8.9 150 3.0
    50~99人 16 4.6 1,137 9.5 1,225 24.8
 100~299人 17 4.9 2,754 23.2 655 13.3
 300人以上 4 1.1 3,706 31.2 2,424 49.2

表2-1(H24年工業統計調査を引用)
  事業所数 製造品出荷額等 製造品出荷額等
1社あたりの平均額
三重県 3,893社 9兆7,647億円 24.5億円/社
桑名市 343社 4,924億円 14.3億円/社
内訳 4~9人 152社 97億円 0.6億円/社
10~19人 82社 159億円 1.9億円/社
20~29人 46社 210億円 4.5億円/社
30~49人 26社 150億円 5.7億円/社
50~99人 16社 1,225億円 76.5億円/社
100~299人 17社 655億円 38.5億円/社
300人以上 4社 2,424億円 606.0億円/社

(3)桑名市で盛んな製造業

 桑名市ではどんな業種の製造業が多いのでしょうか?
 事業所数、従業者数、製造品出荷額等、付加価値額について、上位5業種をみてみましょう。

 事業所数、従業者数では、金属製品や生産用機械、輸送用機械など鉄工業が多いことがわかります。また、当市の特徴としては、鋳物を作る鉄鋼業やしぐれなど食料加工品を作る食料品製造業など、地場産業が活躍されていることがわかります。
 製造品出荷額等や付加価値額では、電子産業、機械産業、鉄鋼(鋳物)が上位を占めています。

表3(H24年工業統計調査を引用)
  事業所数 従業者数 製造品出荷額等 付加価値額
(社) (人) (億円) (億円)
1位 生産用機械 はん用機械 電子部品・デバイス 電子部品・デバイス
53 2,633 1,417 960
2位 金属製品 食料品 業務用機械 業務用機械
51 1,666 1,043 485
3位 食料品 電子部品・デバイス はん用機械 はん用機械
41 1,439 744 225
4位 輸送用機械器具製造業 生産用機械 鉄鋼 鉄鋼
37 1,384 381 146
5位 鉄鋼 輸送用機械器具製造業 生産用機械 生産用機械
27 1,189 319 125

 

(代表的な製品)  
食料品製造業 水産加工品ほか
鉄鋼業 鋳物ほか
金属製品製造業 金属プレス製品ほか
生産用機械器具製造業 金属工作機械ほか
はん用機械器具製造業 玉軸受ほか
業務用機械器具製造業 娯楽用機械ほか
輸送用機械器具製造業 自動車関連部品ほか
電子部品・デバイス 集積回路ほか
・電子回路製造業

 

(4)今と昔の比較

 近年の桑名市の工業の発展を平成10年と比較してみましょう。

 事業所数はこの10年間で173社(約30%)、従業者数は560人(約4%)減少しています。これを事業所規模別にみますと、従業者数が4~9人の事業所は145社(約40%)減少するなど小規模な事業所ほど減少していることがわかります。
 
一方、製造品等出荷額等や付加価値額はいずれもおよそ2倍増加しており、当市の工業は高付加価値化が進んでいることがわかります。

 平成20年、22年、24年の数値を比較してみると、リーマンショックやドバイショックなどの世界的な景気後退の波が、本市の製造業にも大打撃を与えたことがはっきりと確認できます。(表5、表5-1)

表4(H10、20年工業統計調査を引用)
  平成10年 平成20年 増減
増減数 H10年=100
事業所数 (社) 593 420 ▲ 173 70.8
従業者数 (人) 14,259 13,699 ▲ 560 96.1
製造品出荷額等 (億円) 2,819 5,247 2,428 186.1
付加価値額 (億円) 1,102 2,111 1,009 191.6

   注)平成10年は、桑名市、多度町、長島町の合計値

 

表4-1(H10、20年工業統計調査を引用)
  平成10年 平成20年 増減
増減数 H10年=100
桑名市 593 420 ▲ 173 70.8
内訳 4~9人 355 210 ▲ 145 59.2
10~19人 114 95 ▲ 19 83.3
20~29人 54 42 ▲ 12 77.8
30~49人 29 23 ▲ 6 79.3
50~99人 21 33 12 157.1
100~299人 16 12 ▲ 4 75.0
300人以上 4 5 1 125.0

   注)平成10年は、桑名市、多度町、長島町の合計値

 

表5(H20、22、24年工業統計調査を引用)
  平成20年 平成22年 平成24年
事業所数 (社) 420 353 343
従業者数 (人) 13,699 12,490 11,854
製造品出荷額等 (億円) 5,247 4,684 4,924
付加価値額 (億円) 2,111 2,273 2,335

 


表5-1(H20、22、24年工業統計調査を引用)
  平成20年 平成22年 平成24年
桑名市 420 353 343
内訳 4~9人 210 154 152
10~19人 95 94 82
20~29人 42 40 46
30~49人 23 24 26
50~99人 33 24 16
100~299人 12 12 17
300人以上 5 5 4

 

3.今後の展望等

 桑名市の工業は、製造品出荷額等や付加価値額の上ではめざましい発展を遂げてきたといえます。これは、オートメーション化が進み作業効率が上がったことや本市が推進してまいりました企業誘致制度に伴って高付加価値の製造業が増加したためと考えられます。

 一方で、事業所数は減少傾向が続いています。これは、後継者不足や不採算による閉鎖、コストカットのために海外へ移転したことなどが背景にあるものと推察されます。事業所の減少に伴って、従業者数も減少していますが、新たに誘致された事業所により地域内雇用が創出されていることから減少の程度は比較的小さくなっています。

 桑名市は、ものづくりの裾野を支える中小零細規模の製造業の皆さんがたくさんご活躍されております。古くから盛んな鋳物工業や水産加工品など食料品製造業は桑名市に根ざした地場産業として栄えてきました。また、平成22年6月には、市内若手有志による試作品の共同開発に向けた取組みなど新たな連携の動きが芽生えつつあります。
今後本格化するグローバル経済において、海外企業との激しい価格競争など製造業を取り巻く環境は厳しさを増すことが予想されますが、市ではこれらの事業者の皆さんをサポートする環境づくりや企業誘致を更に進め、新しい先端技術産業の集積や地域内雇用の創出に努めていきます。

(注)

  1. 工業統計調査は経済産業省が毎年実施する調査で、平成24年、22年、20年、10年のものを使用しました。(基準日は毎年12月31日現在)
  2. 各表中、表示単位未満は切捨てしています。(合計が100にならない場合がある。)
  3. 用語の定義(経済産業省HPから引用)
    製造品出荷額等
    調査対象期間における製造品出荷額、加工賃収入額、その他収入額及び製造工程からでたくず及び廃物の出荷額の合計であり、消費税等内国消費税額を含んだ額である。
    付加価値額
    (1) 従業者30人以上
    付加価値額=製造品出荷額等+(製造品年末在庫額-製造品年初在庫額)+(半製品及び仕掛品年末価額-半製品及び仕掛品年初価額)-(消費税を除く内国消費税額(*1)+推計消費税額(*2))-原材料使用額等-減価償却額
    (2) 従業者29人以下
    粗付加価値額=製造品出荷額等-(消費税を除く内国消費税額+推計消費税額)-原材料使用額等